【電気事故事例】急な突風が原因による火災事故(電気主任技術者 必見)

事故防止
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事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。

大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。

また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。

作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の状況

当需要家では今度新たに,テナントとして写真製版会社が入居することになった.それに伴い,当テナント部分に至る幹線の動力配線用遮 断器(MCCB)を40Aから 75Aに取替えることが必要になった.
製版会社の開店が 5日後に迫ったため,工事は急を要していた.
午前 1時ごろから,電気工事会社の作業者1人(工事会社社長)が MCCBの取替え工事を始 めた.既設の 40Aの MCCB一次側の配線が 8 m面のため撤去して,同じ動力盤内で比較的負荷の軽いエレベータ・揚水ポンプ用 MCCB(100A)の二次側に 14㎟CVケーブルで,並列(とも挟み)につなぎ込むことにした. 当日は,各テナントは営業中のため活線で作業をすることにした.
14m面 の CVケーブルの 3線をバラして,2線のつなぎ込みが終わった.次に,残り 1線 をつなぎ込もうとして,左手に 1線を持ち,右 手にドライバーを持って,中腰でキュービクル のドアに寄りかかり作業を行っていた.

その時,突風が吹きキュービクルの扉が動い て作業者は体のバランスをくずし,前のめりに なった.そして,作業者が持っていた左手の電線の先端が, 20Vの MCCB充電部に触れて相 間短絡を起こした.

「パチパチ」という音とともに,動力盤裏面から煙が発生し,火災となった.

一瞬のできごとで,あつけにとられていた作 業者は,とりあえずキュービクルに備え付けら れている消火器で消火を始めた.

しかし,「ドーン」という大音密と同時に,さらに火の勢いが激しくなった.作業者はビックリして,大急ぎで下の階から消火器を更に 2本持ってきて,必死で消火を続けた.

「ドーン」という音と煙によって,火災発生を知ったテナントの従業員により,消防署へ連 絡がされた.

1時 16分,電力会社の変電所の DGR(地 絡方向継電器)が動作して,波及事故となった.

1時 21分,消防車が到着.

自分の責任を感じて,必死に消火を行ってい た作業者は,消防署員によって消火活動を制止 され,消火の際,負った火傷を治療するため,救急車で近くの救急病院に運ばれた.
1時 34分,消防署から連絡を受けた電力会社の職員が到着して,電力会社側の開閉器が開放された.

1時 41分,当需要家を除き,送電されて波及事故が復旧した.

1時 51分,火災が鎮火.

救急病院で,治療を受けた作業者(被害者,加害者)は消火中に,火炎を浴びて火傷したもので,顔面,両手,前腕火傷 (1~2度)で,全治2週間と診断された.

12時 15分,被害者(作業者)は再び現場に戻 り消防署,警察署の原因調査に立会った

12時 30分,当テナントビルの設置者が電気管理技術者に事故の連絡をした.

13時 45分,当事業所に到着した電気管理技 術者は,電力会社,消防署との原因調査に立会った.そのうち,仮復旧について電力会社の係員と協 議した結果,当ビルにはテナントが多く入って おり,長時間の停電は営業に大損害を与えるた め,とにかく,低圧にて大至急復旧することになった.

被害者(工事会社社長)は同 社社員の応援を得て,低圧仮受電のための負荷 切替準備作業を開始して, 16時 30分,低圧にて 送電が行われ(負荷を一部制限),仮復旧が終了した.
2日後の 10月 15日,本復旧工事を開始,高圧引込用ケーブルを布設.
10月 16日,なるべく早く復旧するため中古のキュービクル,変圧器,コンデンサなどを使 って工事を行い,耐圧試験,継電器試験を行っ た.

10月 17日,午前中に電力会社の計器用 変成器(PCT)を接続, 13時40分,高圧で受電. 15時 00分,仮低圧受電停止,負荷の切替を開始した.

16時 30分,負荷に送電して完全に復旧した.

事故の原因

作業中に,作業者が 1線を充電部に接触させ て火災を発生させたものであるが,作業者は一 瞬のことで何がどうなったのか,どこから火災 が発生したかなど,全くわからないとのことで あった. 

また,配線等が完全に焼失したため,キュービクルが全焼するに至った詳細は,警察,消防の現場検証後も不明である.

今回の作業は,当ビルの設置者が電気管理技 術者に何んの連絡もせずに工事を行った時に発 生した.

事故再発の防止対策

今後は電気工事を実施す る時には ,必ず電気管理技術者に連絡を行い,立会いを求め,安易 な活線作業を禁止し,安全確認を徹底すること で,事故再発の防止対策とし た.

保安規程に定める保安教育

保安教育は, 事業所内において ,電気工作 物の工事,維持または運用に従事する者に対 し行われるものであり,電気安全,事故防止のうえから極めて重要なものである. なお, 従事者が少ない場合や保安教育を行う適当な 人がいないなどの場合は,各種団体等が行う 講習会,研修会(自家用電気工作物の保安対 策等の説明会,電気安全講演会,電気関連法 規講習会,安全衛生特別講習会)等に積極的に参加させるなど,社長等は従業者の保安教育に努めなければならない.

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。

使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。

働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。

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