【電気事故事例】ケース:建柱車ドリルで埋設ケーブル損傷(電気主任技術者 必見)

事故防止
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 事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。
ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。
大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。
また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。
作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の概要

受電電圧、 契約電力  : 660V 、 7kW

事故発生の電気工作物 : 引込用ケーブル 

 

事故の状況

前回の定期点検の際、保安協会の検査員から、引込ケーブルに関して次のような要請がありました。

「昭和51年以前に製造されたCVケーブルは、「水トリー」(※1)現象による絶縁劣化で、波及事故に至るケースが多いので取替えてください」
(※1)「水トリー」とは、高圧ケーブルの絶縁に使われる架橋ポリエチレンなどに、水と電界の関係で小さな亀裂が発生し樹枝状に成長する現象を水トリーと呼びます

この要請を受けて、当該ケーブルを取替える予定でありました。取替えに当たっては、既設キュービクルのすぐ近くに引込柱を建てて、ケーブル亘長を短くする工事を計画していました。

当初の計画から建柱車の都合でスケジュール合わず、引込柱の建柱日程を変更して実施することとなっていました。この変更については、保安協会に連絡もせず、立合いも求めていませんでした。

建柱に先立って、ケーブル埋設位置の確認をするため手掘りを行っていました。建柱場所を深さ40㎝ぐらい掘削したが、ケーブル等に当たらなかったので、埋設物は無いものと判断し、建柱車のドリルを使用し、掘削を開始しました。

掘削を開始した途端、電力会社の GSR(異相地絡 継電器)が動作し、付近一帯が停電しました。

同時に,建柱車を運転中の作業員が引込ケーブルを損傷したことに気付き、ただちに電力会社に通報し事故現場を確認した。

電力会社の柱上気中区分開閉器が開放され、配電線は復旧した。
電力会社から保安協会へ事故の連絡をされ、保安協会の検査員が到着し、現場碓認の結果、建柱車のドリルにより、引込ケー ブルが引掛けられて断線していることが判明した。

電力会社から応急ケーブルを借用し、とりあえず仮復旧をさせ、後日引込ケーブル布設工事を実施し、本復旧となりました。

事故の原因

(1) 当該ケーブルの埋設位置を確認するために手掘りを行っていたが、掘削深さが不十分のまま機械掘りを行ってしまった。

電気設備技術基準では,直接埋設式により施 設する場合は,土冠を車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所においては 1.2m以上、その他の場所においては60㎝以上の深さに埋設することが義務づけられています。

(2) 建柱車の都合がつかないため,作業予定日を変更して引込柱の建柱を行ったが、保安協会に相談をせず、立合いも求めないまま、工事会社による単独作業を行ってしまった。

(3) ケーブルの埋設ルートについても、図面や埋設標示などがないため不明であった。

事故再発の防止対策

図面の管理や埋設標示、立合いの励行などの改善策のほか、地絡保護装置付き気中区分開閉器を引込柱上に取付ける事にて万一の場合であっても、波及事故だけは防止することにしました。

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。
使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
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