電気工作物の過熱は，火災その他の重大事故の要因になることが多い.温度管 理は保安管理上重要項目の一つであるので，対象物に適 した測定を行うことが必 要である.
示温テープ
サーモラベル，サーモ テープ，カメ レオンテ ープ等と呼 ばれており ，テー プを測定すべき部分に貼 っておく .テープは定めら れている 温 度以上 になると変色するようになってい る.変色す る温度は低い温度か ら高い温 度まで各種製作されてい るので，管理値又はその前後の温度のもの を選び，点検 しやす い部分に貼って お し 温度が低下 したら元に戻るものと ，戻ら ず変色した ままの ものがある.
電気管理の場合は， 一般的には戻らないほうを使う場合が多い.高圧回路では， 停電時に貼 り付りなりればならないが，あとは安全に過熱のチェックができて好 都合である.
表面温度計
検出部を目的部分に接触させて，指示部で読み取るよう にした簡易なものである.多くはサーモカップルを検出素子として使用している が，サーミスタを使用したものもある.サーモカップルは時定数が小さくとれ， 広範囲の温度測定が可能であるが，原理的に常温付近の誤差が大き い.サーミス タは，使用温度範囲が比較的狭く(最高 10°C)， 時定数もサーモカップルに比べ て大きいが，常温付近での精度は高い.
いず、れにしても，検出部を接触させてから 10秒~1分程度たって温度指示値が 一定値に達したら記録する.
高圧充電部用温度計
一種の表面温度計であり ，絶縁部の先端に検出 部 弘 途 中 に指示物 を設けである . ジス コン棒を操作する要領で，先端の検出部を被測定物に接触させ， 10秒から 1分後に指示部の 指示を読み取る .
最高最低温度計
市 販 の 気 温 用 の も の で ， 最 高 が 50°C ど ま り で あ る の で，そのま ま受変電室，キュービクル温度管理用に使用できる .取付位置は低すぎても ，高すぎて も正確な温度は測れないので，なるべく中央に近く ，変圧器の 上 端 程 度 の 高 さに す る . た だ し ， キュービクル は 狭 い た め 場 所 が 制 約 さ れ る が ， 高 圧 充 電 部 か ら 離 れ ， ま た 点 検 時 に 危 険 性 の な い 位 置 を 選 ん で 取 り 付 け る.
計測開始時に最高・ 最低の指示片を，磁石で現在温度の位置に戻してお し こ の時点、から，次回読取り時期までの聞に発生した最高 ・最低温度を指示するこ と になる.読み取ったら，指示片を現在温度に戻しておく.
非接触放射温度計
すべての物体からは， その温度に応じた熱線を放 射しているので， これを測定すればその物体の温度を知ることができ る.乙の原 理で作られたのがスポットセンサ，ヒー トスパイ等と呼ばれているものであり常温程度のものから 20°C以上のものまで，多数の種類がある.原理的には非接 触であり ，被測定物に熱擾乱を与えない.充電中であっても ，影響を受けないなどの特徴がある .被測定物までの距離は数 m mのものから数 m のもの まであり ， より小さい範囲の測定ができる ものは距離が短くなる.
測定は，検出物を被測定物に向けるだけ(多くはピス トル形をしており， その 先端が検出面になっているので，ピストル を向けるような感 じになる) で指示計 又はディジタルで温度を読める.電力用 としては電線の接続部，端子， 接点，ス イッチ等の過熱の有無をチェックするには理想的である
データ収集装置
電気管理用としては用途は少ないが，多数の機器の 温度が問題になるときに使用すると便利で、ある.サーモカップルを 10数点から多 いものでは 100点位まで接続でき，決められた時間ごとに高速度でスキャンし て記録していく ものである.
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