【電気事故事例】水中の作業中に発生した作業者の感電事故(電気主任技術者 必見)

事故防止
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事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。

大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。

また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。

作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の状況

当事業所では,今後新しい印刷製造機械を導 入するために,工場内で掘削基礎工事を実施中 であった.

事故の当日には,掘削部分は縦 6m,横 7m, 深さ 4mであった.この掘削部分は,深さが 2.5 m ぐらいになった頃から湧水し始め,水中ポン プで排水しながら掘削作業を進めていた.

深さが, 4mに達すると次第に湧水量が多く なり,前日まで使用していた単相 10V40W の水中ポンプでは,能力が不足することと,事 故当日は,掘削部底部に基礎砕石を均等に敷か なければならないため,被害者はポンプの容量 の大きいものが必要と考えて,三相 20V1.5 k Wのポンプを取り寄せて使用することとし た.

午前 1時頃,被害者は新しいポンプの電源を 取るために,使用する分電盤の指示を当工場機 械係員に依頼した.

機械係員は,掘削部南側約 3mの位置にある 壁掛露出型の動力分電盤内の NFB3P30Aに 接続するように指示した. また,接地は盤内の アース端子に接続することと,漏電遮断器を使用することも,あわせて指 示 した. 指示をした当工場機械係員は,被害者が今まで使用していた 100Vの水中ポ ンプの接地の 接続.漏電遮断器の設置等を,間違いなく実施 しており.また.経験が 16年のベテランである ため,指示どおり実施するものと信頼して,新 しいポ ンプを使用する前に.接続の確認はしなか った.
1時 30分頃.被害者は新しい水中ポンプの電源を指示された NFBに接続した.しかし,キャブタイヤケープルのアース線 は,盤内の端子には接続せず,そして漏電遮断器も設置しなかった.

昼食の後, 13時から被害者の下請け会社の社員が(A とする.)掘削部底の排水作業を始めた。

湧水は順調に排水され, 14時 40分頃, A は掘削部で最も深い位置に水中ポンプを移動するた め,水没していたポ ンプを,左手で案内綱(トラ ロープ)を持ち,右手を土止め中の H型鋼に手 をかけた.

この瞬間, Aは金しばりの状態になった.こ れを掘削部の上から見ていた被害者と,本工事 元請け会社社員(以下, Bとする.)は,不審に思 い上 か ら声をかけたが, A は金 しばりの状態に なり,声を出せなか った.

被害者は,掘削部東側に仮設してあったアル ミ製のはしごを伝わって底に降りた.被害者が その時,「電気が来ている!」と大声を上げたので,上で見ていた Bは,分電盤に走り キャブタイヤケーブルを 一気に引き抜いた.

Bが,振返って掘削部の底を見ると,被害者 とAが 2人とも,泥水中に倒れていた .Bは,当工場職員に急いで応援を求めた.

14時 50分,当工場職員は,救急車の手配,電 気主任技術者,当工場関係者等,各所に連絡をした. 事故現場の掘削部底では,ショックの解けたA を,自力で退出させ,意識不明の被害者をク レーンで担架を吊り上げ救出し,救急車の到着 まで人工呼吸を行った.

15時 10分,救急車到着.意識不明の被害者は 応急手当を受けながら病院へ,また,感電のシ ョックを受けた A も,外傷等はないが,念のため救急車で,病院に運ばれた. 被害者は,病院で蘇生術を受けたが, 15時 45分死亡した . Aは,ショ ックを受けただけで, 負傷はなく,次の日から通常どおり,勤務につついた。

事故の原因

被害者が,水中ポンプの電源を接続する時に,盤内アース端子に,アース線を接続しなかった ので,遊んでいたアース線が,ポ ンプの電源を 接続した NFB一次側 T相の銅バー締付けヒ‘ スの頭に接触していた(第 4,5図参照).これに より,キャブタイヤケープルの接地線を通じて,

水中ポンプ外側の金属部分を通して,水中に洞

電していた.
そこで Aが,水中ポンプを移動しようとし

て,水中からポンプを持ち上げた瞬間(水中から 縁が切れた時)に,電流がポンプから Aの体を 通して,士止め材の H型鋼へと流れて,感電し た. Aを救助に行った被害者は,アルミ製はしごを伝わって降りて,掘削部底部の泥水部に足 を入れた直後に,土止め材の H型網に手を触れ たため,電流が被害者の体を通して,泥水に流 れて被害者を死に至らしめたと判明した.

今回の事故では, A の左手から侵入した電流 が Aの右手を通じて,土止め材の H型綱を通 り,感電死亡した被害者の右手を通じて,地絡 したわけだが,なぜ Aが負傷をせず,被害者のみが死亡したかは,現在でも不明である. ただ,推測できることは,人間にも電気に対 する耐性の個人差があり,また事故時,人体内 の電流の流れ方による運,不運の差をかいま見ることができる.

事故再発の防止対策

漏電遮断器を使用するとともに,漏電の有無を確認する. 接地を確実にとり,露出した充電部の絶縁を確実に行う.
電技第 206条に規定された差込接続器を使用する. 危険予知のミーティングを,必ず実施する. 電気主任技術者・担当係員は,工事業者の施工状況をパトロールで,確認することにした.

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。

使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。

働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。

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